憂鬱に現を抜かす、

命を絶つ勇気が出ない社会の贅肉 人生

例えば

床につき突然零れる生温い水が涙なのだと気付いた時には遅く、その時背骨を握っているのは病であると思う頃には既に手遅れである。血が滴ったとき初めて「自傷を行った」という事実に自身が驚き、咽び叫ぶ。不思議だと思うがこれが君と同じ人間だ。身長も体重も大差のない人間である。

 


しかし理解し難いだろう。

 


私だって同じだ、なにもなりたくてこうなった訳ではないから。

 


少し人よりハンデだ。その程度に思っていた。

いやそれは少しばかり嘘かもしれない。人間はどうしてこんなに死にたいと思うのか。長いこと悩んでいたがハンデというより、生命活動そのものを望んでないのである、鬱といった病は。

 

私の幸福的感情をなだらかにし私の苦しみを増長させ膨大な自己嫌悪に陥り涙を流しながら眠れることを願う晩が、それが去るまで続く。

自分が世界一苦しいとなど思っていない。

だからこそ死にたい。

私より苦しい人間はごまんといて、何も出来ず、病にも勝てず、愛する人の理解も得られないのなら蝕んだものは囁く「しんでしまえ」と。

 


只管に抗っている。涙を流し眠れることを祈る。

貴方が去るかもしれない明日を恐れながら。

だったら、だったらはじめから受け入れないでくれよ。

私だって普通に幸せを噛み締めて生きたいのに、

そうさせてくれないのは私の世界一嫌いなわたしである。

震える手で打っている。今度こそ本当に死ねて仕舞うかもしれない。

自傷で夢を遠ざけた。これは心から悔しいのに。

侵された私の命を糸一本で繋いでいるのは、果たしたい夢と、君だが。全ては遠ざかる。

 

眠る前の意識の如く、幸せは脆く朦朧であり簡単に途切れるのだろう。

 

心中を図ることは辞めた。貴方には私とは違い蝕まれていない輝かしい未来が有るから。

しかし、左様ならと簡単に首を切ることに怯え

生物としてどのようなものよりも己が下等であると理解しているくせにいざ事を実行するにはまるで普通の人間のように戦くのだ。

 

勇気が欲しい。

少しの勇気が。

夢を諦める勇気が。

貴方を諦める勇気が。

私を辞める勇気が。

 

全てが固まったらきっと、勇気を翼に込めてと題して、生きていた証をもっと詳細に綴るのだろう。

 

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今日は何でもない日。
いつ死ぬかなど愚かな人間には分からないから
きっとあの果実に手を伸ばした時口に含んだそれは想像していた味では無かったと思う。

 

聖書はいちばん有名な創世の歴史を語る。
唆され、恥を知った我々は永遠の命などはなから求めて居なかったことに、神も気付いてはいなかったらしい。
実に愚かであると思う、

だって終わりが無い限り始まりはないだろう。期限があるから起源があって
地続きなんて困難であるのだ。
私は、神を信じていない訳では無いが、居るとしたらそれは残酷であって平等と公平とは程遠くに位置している。

 

でも宇宙が広いから仕方なかったのかもしれない。

 

何でもない日に記したのは、

死んでもいいように。
死にたい訳では無く今死ぬつもりもないけれど
消えてしまう前に届くように。

 

恋をしていた、君に。
でもよぎる、嫌なこと。私が振ったのに、私を追いかけると言ったのに、ほかの女に走った屑のこと。
悔しい、屑にとって私は手の届かない人形であるはず
否気付くのが遅いだけかもしれないけれど、私は何度も思い出す。奴との日々を。楽しかった想い出も沢山あった、温かい夢が沢山あった。お前は忘れていけているのだろうか。

 

全部、君が最初だったらこんな気持ち無くて済むのかな
海で見た朝焼けも、丑三つ時の星空も、街を彩る電燈を見下ろしたのも、畝り暗黒の山道も、アスファルトに見捨てられ土と剥き出しの木の根。生きて帰れるか不安になるほど長い迷宮を出て二度と行かないなんて笑ったことも。全部、全部
私の楽しかった思い出全部、君と経験できたらどれほど、どれほどよかったのだろう。

 

手放せない記憶が頭痛を誘う。

私が好きなのは君なのに。愛しているのは君だけなのに。奴は私を2年も馬鹿にして消えていった。他の女に。浮いた心は私を地の底に落とした。

 

否定して欲しかった、もう要らないのに。

私の手札は貴方の愛でたくさんなはずなのに。
脳裏をチラつく、彼奴がきらいだ。
私は、遠いよ。君ともっと一緒にいたい。
痛い、物理的距離が、時々逸る心に解らないと既読という文字で止まる。
檻に入ったみたいだ。どうして、心細いでも、知られたくない。だってきっと、そんな私を君は望んでいないから
君が求める私で居ないときっと、上手くいかないんだ。
だからあんな風に、
それでも十分装ったつもりだったけれど
自分の驕りだと思い知らされた。

 

 

明日世界が終わるなら
それはもちろん君といたい。
明日戦争が起こるなら
君とこんな世界見捨てたい。

もう生まれ変われなくても、いっしょにきえるの

大丈夫、永遠の命は要らないけど、永遠の無には成れるから。
だから一緒に、消えよう。
私は身体中に貴方の名前を刻んで、可能であれば口腔に銃を咥えて引き金は自分で引こう。
或いは人の消える時間、大きなビルから身を投げよう。抱き締め合いながら。

二人しかいない樹海で括ろう。首を、木に飾るのだ。きっと素敵さ。きっと二人で永遠に成れる

 

 

でもできることなら
こんな汚い世界から、嫌なこと、嘘、穢れ、罪、なんにもなくなって、私も君も身体が思うように動かなくて、丸まった背中で「私より小さくなったね」なんて話をしながら、いつかできた2人の命の結晶がもうなんの不安もなく新しい結晶を繋いで、その子たちをよく可愛がって、きっとたくさんのことを思い出しながら
あの日初めて一緒に眠った時を瞼に浮かべ眠るように君の隣で軈て止まる呼吸を、共に迎えたい。

 

こんな風に想うのは、
こんな風に綴りたいのは、綺麗に描きたいのは、君だけだ、どうかずっと、私だけを。叶わなくても、叶ったのならきっと
これを一緒に読み返すのかな。

 

私は、そうだね、愛しているよ。

血の繋がらない異性にここ迄気持ちを抱いたのは初めてだから。

心の底から愛しているよ。どうか一生傍に、君が

幸せをこうせいするIDOL

福岡で2泊3日を過ごした。

この地に来るのは2度目であった。

 

2018年振りの九州と、当時はアリーナだった規模も時と共にドームになっていた。

 

 

ぬいぐるみの腕が丁度うちわの柄にフィットしていい感じにホールドしてくれるので、このグッズが出てというものこの写真の撮り方がいたく気に入った。

 

12/2 感想としては、楽しすぎた。

バックステージに近くかつ、全体の構成が見渡せるような席だったのだが、なんという演出をしてくるのだろう。目が、心が、躍らない時間が1秒もない。目が離せない。こんな素敵な時間を

たったの0.1秒であっても逃してはならないと。

 

初日に入ることが出来てよかったと心から思った。セットリストも、笑いに走った映像も、リミットタイムが見えているMCも、挨拶も、アンコールも

全て、全てが良かった。

語るにはまだこのコンサートを味わえていなさすぎる。もっと、もっと何百回でも何千回でも観たい。彼らの光を、命の煌めきを、瞬きを

毎度、本当に人生に光を与えてくれる。

彼らの存在は太陽というより、宇宙である。

一人一人が恒星で、広大な宇宙に希望を貰って生きることをひとつひとつこんなにも楽しいと感じて、苦しさもなにもが愛おしい傷であると、刻一刻と過ぎる時間を抱きしめて自分として生きていくことを恥じない人生を教わるのだ。

 

神に御姿があるのなら、きっと彼らのような形をしていると思う。それは二枚目とかそういった意味ではなく、纏っている光、輝き、私の言葉で語るには少なすぎる魅力、そういったオーラなどである。

 

だから彼らは私の宇宙でもあれば神でもある。

 

彼らがいたことで私は大人になることができた。

幸せやそうでない感情をただ死にたいと簡単な四文字で丸めていた日々を一緒に過ごしてくれた。

人生は歯車こそがたついているものの、案外どこかに散りばめられた救いや糧を拾い集めればある程度の楽しみを提供されるものなのかもしれない。或いは日頃の行いが良かったのかもしれない。

 

話は少し変わるが

かつて、唯一の解散コンサートを

この目で観たことがある。名前は知らない人の方がすくないだろう、V6だ。母が好きであった。いや、正確には現在も好きである。

 

しかし彼らは現在、20th Centuryを除き別々の方向に決心を固め歩んでいる。当然私も他人事ではなかったから、解散が決まったときは悲しかった。母がなんとか当てたチケットで、その6人の最期を観た。私は彼らのご尊顔を拝むことすら初めてだったのだが、もう、驚きしか無かった。

テレビ越しにみているだけでは気が付かなかったものだったから。アクロバットが売りだったイメージがある。しかし年齢と共にそれも減り、ダンスもどこか緩く踊っている様に画面越しには感じていた。4Kではなかったからだろうか?そんなはずはない。

あの鳥肌は、彼らが「歴」として築いてきたものであって、緩く踊っているようにみえていたものは全て6人の揃った「タイミング」であった。かつてこれ程踊りの上手なグループを私はまだ知らなかった。それは歌唱も同様だった。

長年の信頼、時間で出来上がったもので、一朝一夕では築きあげることはどんなに優秀なダンサーや歌手にも不可能だろう。

これがアイドルだとそれはもう衝撃を受けた。

それぞれが背中を任せている。隙がひとつもない。これが「アイドル」なのだ。先述したが唯一の解散コンサートを走り抜けた6人の姿。私の走馬灯には確実にこの日のことが詳細に浮かぶだろう。

 

印象的だった言葉があった。

「俺たち、解散したことないからさあ」

そうか、これが一人もかけずに解散を選んだグループの想いか。

そしてリーダーは言った、うろ覚えだが確か、またこの6人でステージに立ちたいと。そういった内容だったはずだ。気がついた時にはマスクが絞ったら滴るのではないかというほど私は涙を流していた。いつか湿っていたのかは思い出せないけれど、確実にそれは私の経験に刻まれたものだった。

 

長くなってしまったが本題に戻りたいと思う。

この話をあえて書いたのは、名前が変わってしまうからだ。同様、名前が変わったことのあるグループはこれまでにない。

削除してしまったが、一人が脱退を決意した時も、私はブログを更新していた。

変化が恐ろしかったから。そして忘れたくなかったから。文字にすれば読み返した時に、書いた時の気持ちが蘇ってくる。だから忘れないように書いたけれど、削除した今も一人で、いや我々と共に普通の生活を送っている彼の想いも、何一つ忘れることなく幸せを祈ってInstagramを眺めることができているからあまり暗く悲しく残すのは違ったと思った。

 

結果論に過ぎないが、はじめ彼が居なくなってしまったら私は Sexy Zone が好きではなくなってしまうのかもしれないという大きな不安があった。

きっとそんな訳はないのだけれど、人生に於ける変化が恐ろしかった。きっと私の病状も良くなかったし、オレンジ色で何度も照らしてくれた存在が「アイドル」でなくなってしまう勿体なさなのか、けれど本人の意思を尊重したい、自分でもよくわからなかったけれど名残惜しい、もっと5人をみていたいという気持ちが1番だった。

 

そのため年が明けて初めは悲しみに暮れていた。

偶、愛犬の命日が1月1日ということもあってあまり晴れ渡った感情にはなれなかった。どうして新年は別れがあるのだろうと。

 

5人であるSexy Zoneを超えることはないと思う。知ってしまっている。5人でひとつだと。

それは誰よりも彼らが一番分かっているんだと思った。かといってそれで諦めるSexy Zoneではない。どんな苦境に立たされてもずっと闘ってきた彼らだ。私が出会ってからずっと、その時の一番を納得出来るように生きてきた彼らが、生半可なパフォーマンスなどしない。その想いを乗せていつも命懸けで歌って踊る。

10周年アルバムの RIGHT NEXT TO YOU それが発表された時息を飲んだ。まだマリウスが活動休止中の曲だが、歌って踊れるをこれまで以上に挑もうとする姿勢に感銘を受けた。感銘は生き様から受けっぱなしだが、そうか、まだ、まだまだやるのか。

 

アイドルとしての心意気をみた。

他グループと比較するつもりは毛頭ない。不要であるから。ただ彼らの本気は常にあった。どうしてそんなことが出来るのか分からないほど、アイドルとして本気であった。

曲としてはChange the worldの方がハマったのだが、10周年を迎えて、まだこういった輝き方を秘めているのかと、関心するばかりであった。

XYZ=repaintingから楽曲はお洒落な物が増えた。

ドゥバイのようなSexy Zoneらしさから新しい彼ら「らしい」物がこのアルバムから増えて行った。きっとここまで読んでくださっている方はセクラバであると思う。その為時系列やコンサート名などは省かせて頂こう。

 

翌年以降シングルもお洒落な曲の比率が増え少し寂しさすら感じていたが、彼らが心から納得する曲を歌えるようになっていることは嬉しかった。

しかし、やはり彼らしか歌えない変わった曲を聞きたいとも強く思っていた。

ゼンゼンカンケイナイ、Tokyo Hipster、休みの日くらい休ませてとアルバムには「そうそう、こういうのだよ!」というものはあったがシングルはもうお洒落な曲しか聴けないのかと思うと寂しさが走った。でもまだ全員ではないから、これが今の彼らの選ぶものなんだろう。そう思って過ごしていた。

 

1人の脱退が発表され、1年が経過しようとしていた。

この1年メンバーからファンになった彼と、それでもずっと5人でと。私を救った存在は宇宙であることを自身が侮っていたに近かった。ずっとステージ上では4人でも、もう1つ分の想いを乗せて、ファンの想いを乗せて、どんな重責を抱え乍らそこに立っていているのか。どれほどの感情を抱え歌って踊っているのか、思い通りに行かなかったデビュー後も、5人全員で立てたコンサートも、常に彼らがどんな気持ちで挑み、エンターテインメントを届けてくれていたのかなんて測れるものではない。

ただずっと全力で、生きてくれたから

 

人の心は動いた。

私は救われた。

「ありのままで生きていていいよ大丈夫だよ」

それが彼らの、Sexy Zoneの導きだった。

 

名前が変わっても彼らの地球を包むような優しい考えが変わることはないだろう。

 

12/26

開演時間となりオーラスの東京で叫ぶように名前を呼んだ。これまでにない大きさで、心の底から彼らの名前を。絶対に後悔を残さないように。

でも名前が変わってしまったら。5人であったのはSexy Zoneであって、これからは4人だ。

 

5人であった事実は新しい名前になったら上書きされてしまう。5人でSexy Zone、それは決して覆ることのない事実である。しかし次は?新しくなったら?もう「5人で」と、呼べる名前では無くなってしまうかもしれない。

そんな不安も念頭にあった。だからこそ最期の名前を、魂から呼んだ。

 

気合いの入ったコンサートだった。

Chapter II 初めに書いた感想と同じく

何度も何百回でも観たい。

ただ後半にかけるにつれ彼らの名前への想いが全てに現れていた。本当に最期なのか、少し疑う自分もいた。Forever Goldの後半から福岡では絶えず涙が溢れていたのだが、最終日は笑顔で大好きな曲をペンライトを心のままに振って挨拶を迎えた。

ここで、嗚呼、本当に最期が存在するんだと実感することになる。そんな挨拶をしないで。嬉しさと現実と苦しみやほんの一部でしかないが私たちにそれを吐出する中島健人の表情は見たことないものであった。佐藤勝利松島聡、2人の言葉も軽いものでは無く、ひとつの言葉をそれは大切な宝物を壊さないように優しく、吐き出していった。温かく。胸が苦しかった、どうして彼らばかり?

私は貴方たちのお陰で、こんなにも、こんなにも幸せを貰っているのに。どうして運命はこんなにも過酷なのだろう?そんな決断に迫られなければいけないのだろう?そういった考えも過った。

 

でもそれは壁を壊そうと、又は扉を開こうとしている4人に対してどれ程失礼に当たるか。

それでも溢れ落ちる想いは止まらない、

そして菊池風磨は口を開けた。私が特に応援している彼は、決して嘘でない気持ちをファン達に語った。覚悟はしていた、けれど瞳からは願ってもないものが滴り落ちる。半ば悲鳴のような呼吸音と啜り泣きが会場から聞こえる。彼は続ける。

永遠はないと。

だから今は、嘘でも笑っていようと。

 

それは残り時間を伝えるものだった。

 

──Timeless

 

しっかりと見届けたし、見送った。

ステージから目を絶対に離さなかった。大きな瞳に涙を溜めた聡ちゃんの歌い出しで胸が張り裂けそうだった。それでも少しでも逸らしたら後悔に繋がると確信していた。だから絶対にステージに目を向け、決して離しはしなかった。12/26 だけ流れた映像。彼らも堪えていたものが安堵なのか、不安なのか、一人一人が様々な感情で赤くなる瞳と零れる落ちる雫を恥じる様子など当然無い。

その名に、この5人に、気高い誇りを持って12年生きたからこそ溢れるものに私達は咽ぶ。

 

モニターが照らす合図。

私たちの番がやってきた。大きく息を吸って準備をする。そう。もう二度と東京で、会場で、皆と一同になって呼ぶことが出来ないから。

喉が潰れてでも呼ぼうじゃないか。何度でも、血を吐いてでも呼ぼうじゃないか、彼らの名を。

 

Sexy Zone

 

割れる程の大歓声と拍手と共に幕を閉じる。エンディングが流れ共に歌う者やただ立ち尽くす者、抜け殻のように座り込む者もいたと思う。しかし止まることの無いSexyZoneコール。コロナ終息後に聞くこんなにも大きなアンコールは、5万5千人のアンコールは格別であった。

 

 

名前を呼ぶ事1、2分だろうか、アンコールで出てくるのはまだ名前の変わらない彼ら。皆が飛び切りの愛を向けていた。幸せそうな表情で笑ってみせる彼らはとても強いアイドルに違いなかった。

歌い終え。ファンサービスを終えてメインステージに向かう4人。あの掛け声が聞こえれば銀テープが飛び交い、Chapter II は終わってしまうかもしれない。

 

彼らの想いを、終わらせたくない。

 

「 We  are  」

 

皆、もう一度息を整える。そして喉を枯らす勢いで叫ぶ、その名を。

途端飛び交う銀色のそれは位置した席からすると流れ星のようだった。それには手が届かない。

けれどそれで良かった。

この場にいれたことが何よりの価値であるから。

 

一体どれほど腫れているか想像もつかないほど瞳から零れ落ちた水分を枯らすように最期のアンコールをする。

 

全てが一心同体であった。ファン達が東京ドームという怪物となり、Sexy Zoneを待ち侘びる。

これで潰れる喉なら潰れてしまえ。幸福だろうその方が。姉とセクラバ達と共に大声で唸った。

どれ程の時間東京ドームは彼らの登場を待っただろうか。今となってはすごく永かったような気もする。

センターステージに出てきた彼らは先程より明るい表情をしているようにみえた。というのも、マリウスが来ていた。私の席からは丁度、見える位置だった。周囲があれはマリウスではないかとヒソヒソとしかし高鳴って双眼鏡を向けている人もいた。私も、あの帽子の人じゃないかな、なんて姉と話していた。

 

カメラはマリウスの方へ向けられる。

流れるように悲鳴が走る。

マリウス、一言頂戴、4人の中の誰かが言った。

 

オレンジ色だった彼は驚いた表情をし、一瞬Whyといったポーズを取り4人に向き直る。

会場は勿論ざわめいたが途端に静寂に包まれる。

彼の声を聞くために、

一体どのくらいぶりにマリウスを見るんだっけ。

涙でボロボロにも関わらず勝手に口角は上がった。

 

マリウスは深呼吸をして言った

「We!Are!」

 

まさか、という感情より早く言葉は出ていた。

揺らいだ。うねるように、まるで、新しい星が誕生したかのように。5人の煌めきが、みつめるファンの目に灯る光が。

 

そして我々は歴史の観測者となった。

 

愈々さいごに歌う曲。

フィルター越しに見た空の青

 

大好きな曲。初めて生で聞いたのは福岡マリンメッセだった。あの演出を私は凄く気に入っていた。

だから悲鳴、感嘆、そういったものが私を襲った。

5人で最後にステージで歌った曲だったんだっけ。涙は出尽くしたと思っていた。零れていくものが最早何か分からない程、歓喜やそれでは足りなくて詠嘆という言葉が初めて脳味噌から飛び出した。

 

唯、聴き入っていた。

 

でも一緒に口ずさんで

間違いなく、一緒でよかった。

ドラマ以上の名場面を幾度見せて貰っただろう。

奇跡という出会いがこれだと云うのなら。

其れに感謝をしよう。心から。命を懸けてでも。

5人を、Sexy Zoneを愛せてよかったと。

この場に立ち会えて、共に涙を流した日を。

彼等と出会って生きることに意味を見いだせた日々を、私は永遠に愛すことが出来るだろう。

 

本当のおわりはやってくる。

 

彼等はマイクを下ろす。

しかし、これは飽くまでも前向きな選択であるから。覚悟は出来ていないけれど、これからも貴方たちを愛す為にその合図を聞き漏らしてはいけない。

 

さいごの 「 We are 」

東京が揺れた。轟音を奏でる東京の怪物は神仏となり総てを見守った。

Sexy Zone

永い咆哮であった。一生続いて欲しいとの望みがきっと永く、長くさせた。全ての息が切れるまで、一人一人は叫び続けた。見えなくなっていく彼らに、最後までSexy Zoneでいてくれてありがとうといった気持ち、いかないで、様々な5万5千人の気持ちは交錯した。軈て、続かなくなった息と、姿の見えなくなった彼等に大きな喝采が上がった。

 

会場を出て携帯で時計を見る。

今年の針はやけにはやかった。

もっとセクゾと呼びたかった。もっと色々な人にコンサートを見せたかった。でもきっと彼らはいつも私達の予想を遥か上回ってくれたから。

これからも恒星達は私の銀河を彩ってくれるだろう。

 

そしてきっと私はいつか、子供を授かることがあったら、この事を後世に語り継ぐのであろう。

煌めきは、言葉で伝わるものではないが

きっといつかそれを語る私の瞳は、あの時と変わらない光を灯しているのだろう。

 

私の背骨であるSexy Zone

大好きでした。これからも。

永遠がなくとも。未だ信じたくない気持ちはあるけれど、何よりも

私を、救ってくれて有難う

人生を構成してくれた大切なアイドルグループへ

これからも貴方たちは私達の光です。

 

O.N.E.を待っています。

新しい時代をきっと、ずっと貴方たちはこれからも唯一の幸せをこうせいするアイドルであるから。私の宇宙であり神である貴方たちへ。

 

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Sexy Thank you Forever,

Forever Love いつまでも いつまでも。

 

堕ちる、steel

誠実だと人に紹介していた人が

大法螺吹きだと知った。

以前付き合っていた人である。

その人は煙草は嫌いだと言ったが、

どうも私に隠れて吸っていたらしい。それも酷い話で「今日煙草臭いよ」と指摘した時「煙草吸う友達の家に居たから臭いうつっちゃったかな」などと返されていた。

 

それもこれも共通の友人から教えてもらったのだが、新しく彼女が出来たらしい。私のことをずっと追いかけるなどとほざいていた日から若干3ヶ月。

 

尚も傷をつけられるとは、ひとつも塞いでは貰えなかった傷口は膿み脳内を侵す。誰も信じてはいけないなんてことは無いのに。見る目がなかった過去によって己が壊されていく。

 

古来から、正直者は馬鹿をみるといった。

 

ふざけた話だ。

 

初めて付き合った人と別れた話▼

 

私の両親は誠実であった。

誠実に生きることが正しいと信じて止まなかった。だから、子である私は、正直に生きなさいと教えられた。なにも間違っていないと思った。

 

しかし家計は苦しかった。

誠実であるからこそ、父も母も利用されるのだ。

社会にも、人間にも。

だからある時からお金はなかった。

車を売った時

コンプレックスが産まれた。

 

人のお小遣いを聞く度嫌な気持ちになった。

好きな物を労働の対価以外の紙幣で得ている人を敬遠した。両親によって与えられるお小遣いが少ないと嘆く高校の同級生を同じ人とは思えなかった。

 

お金が無いと両親が口にする度、生きていて申し訳ないと感じた。

 

産まなくてよかったのにとも思った。人一人分の生活費が、学費が、無くなる方がいいだろう。

 

考える度脳みそは駄目になっていった。使えなくなった。

世界情勢も、政治も、用途不明に使い込まれた金も、私が誠実に生きたところで戻らないのだ。

そんな風に、軈て物を考えるだけで自分という存在がいやに迷惑だと感じた。

 

でもまだ、夢を見ることができた。

生きることを諦めきれなかった。

好きなアイドルがいた。

生活を肯定してくれた。

 

 

人に絶望をした、半分縁を切った。

 

その後別の人と出会った。

彼は胡散臭かった。見た目も喋り方も。だからいっそのこと騙されてみようと。

風変わりなダンスならこの際一緒に踊ってやろうとその手を取った。

平然と嘘のようなことを言うし、当然信じたら傷を増やすことになるから受け流していた。

ある時、好きだといわれた。不自然なタップだと思いながら見ていた。

 

ある時、彼の学校に誘われた。文化祭のようなものだ。そんな所に呼んでくれたことに彼の踊りは真剣なのかもしれないとどこかで思っていた。

 

合流した彼は見違えるもので、髪は頭髪検査に引っかかって切らざるを得なかったと前日から聞いていたものの、そうではなく、普段とは違うヘラヘラした様子が一切なく、口角を上げて喋らない。そして妙に口数も少なく何より、身長が低かった。

 

単に言えば真面目、しかし低燃費といった具合で、やる気があるようでどこかないような瞳と、私と歩くことを冷やかすような同級生への態度といったらこれまで見たことの無い「面倒臭い」「邪魔」といった雰囲気であった。

 

なんだか知っている人と違うと驚いたものの、さすがにその場で指摘したところで嫌な気持ちにさせる可能性もあるため黙っていたが、出店的な場所でご飯を買って、二人きりになったとき彼はいつも通り微笑んだ。その笑顔に安心した。そう、この表情だ。

けれど、普段みれない真面目な表情はこのへこんだ心を惹きつけた。

 

文化祭が終わり、片付けが終わるのを軍艦が見える公園とショッピングモールで潰し、漸く全てが終わった彼と合流し別の駅へと向かった。

 

彼が居酒屋に入りたいというので少し探してそのままはいった。

本人曰く3%の缶のアルコールを人と半分こする程度がちょうどいいらしいので、お酒にはめっぽう弱かった。

一杯、エナジードリンクで割ったお酒でそれは仕上がっていた。

コカボムのような強いパーセンテージではなく普通の、ウィスキーか何かが指2本分位だったと思う。しかもこちらもまだ一杯しか飲んでいないのに「はやくこの酔い具合についてこい」と走り出してゴールが分からなくなっている様子であった。

 

堪らなく愛おしく感じた。

 

彼はヘロヘロで、私にもう一杯飲んでよとすすめてきたので甘そうなお酒を飲み、少し美味しそうなつまみを食べてお会計をした。

 

ふらふら歩きながら飲み足りないと駄々をこねていたので少し歩いた所に位置する激安ジャングルまでお酒を買いにいった。

3%のお酒を1本カゴに入れて満足そうに口角を上げた男に、6%の個人的に美味しいと感じたお酒を勧めたものの「6%ってめっちゃ高いじゃん...」とあまり乗り気でなさそうに言い放ったのでじゃあこれは私の分にすると告げ、カゴに放った。これではわざわざ激安ジャングルまで歩いた意味があるのかと思いながらレジに並んだ。

しかし楽しかった。

 

10分しないほど歩いてホテルに着いた。

彼のご両親が友達と泊まるだろうと抑えてくださっていた所で、駅からも近くとても綺麗なホテルだった。一緒に泊まるのはそれが初めてだった。

 

色々話したような気もするし、四捨五入したらやっと10%である缶に身を任せた気もする。

大きなベッドが2つ並んでいたが、彼は近くに来てくれた。日中とは違い微笑みながら眠る彼を横目に、このまま踊り続けたいと瞳を閉じた。

 

 

その翌週、男とは関係性が変わった。

友人から、恋人になった。

それからの生活というもの、優しさや真面目さに感服する日々だった。凄く誠実であった。

 

以前付き合っていた人に感謝をしていた。

なぜならこんなに素敵な新しい巡り合わせを、そのタイミングで私が別れを切り出したから叶った物だと思っていたからで、そういった事に感謝ができる人間になることが願いでもあったから。

感謝していた一方で、そのようなしょうもない嘘を、そのような人を騙す人間を信じてしまっていたのかと病気は私を責め立てた。

 

考えたくない、できれば今の幸せな感情だけで息を吸って愛してる者だけを抱きしめていたいのに、治ったとか良くなったと信じていた鬱病は私の肩を掴んで離してくれない。

 

この病のお陰で同じ病を持った人の気持ちをわかるようになった、それは経験しなくては出来ないから。きっと誰かに寄り添うことが出来ることには患って無駄なものだけではないと考える他なかった。でも、こうして突然もういない必要の無いはずの人の言動で私は天から地へと叩き落とされる、いとも簡単に。

 

双極性障害の私は、もしこの幸せな感情が躁状態であったら、通常に戻った時幸せを同じように感じられるのか。いやそもそも立ち直ることが出来るのか。

不安ばかりだった。

楽しいことを楽しめない感覚を思い返すと嫌になる。そんな風になりたくない。

例えばコンサートを見終わった後、大きな喪失感に襲われ涙が止まらない時期があった。そんな時期を思い出してしまう。嫌でも蘇ってくる。

 

私が私で無くなった時、やはり私は誰かに愛されるなんてできないのだろうか。

昨晩襲ってきた不安に恋人のLINEを開き尋ねる。

早朝、帰ってきた答えは「おっぱい」であった。

 

 

全て、どうでもよくなり彼のことが好きだなあと貰った花を眺めながら考えている。そして思った。バカをみようが誠実に生きてやると、

 

努努叶うことのないゆめ

交通費と交際費が財布を薄くし、来月姉とする旅行の旅費の引き落としがもう間もなくなことに震えながら

冬の寒さと懐の寒さは毎年比例するなと考えていた。

 

 

お金は簡単に夢をみられる道具だ。

それ以上でもそれ以下でもなく、対価に対して好きなものを得られる、これ以上ない有用な道具だ。

 

私がそうしてまで観に行く夢は男性アイドル。

元々は5人組で現在は4人。彼らの勇姿を観ることは痛みが気にならない対価を得られるからである。痛み以上の。

 

アイドルは、言葉通りで私の人生を照らしてくれた。初めて本物を観たのは15歳だろうか。

ハイタッチ会だったことを覚えている。

前年のコンサートには落選してしまい初お目見えが至近距離だったのだ。

それからその年のコンサートに入って命を動かされた。

 

自分でも生きていていいんだ、そう思った。

 

結局毎年コンサートにいったものの病に勝てず一度飛び降りてしまったのだが、彼らがいなかったら私の人生はもっと悲惨で愛や夢や平和を追い求めることはなかっただろう。

そして立ち直ることもできなかった。

 

私は、エンターテインメントに憧れた。

 

今年も一度夢のような現実を、彼らの姿を観たが、また1度それが観れるのだ。私も姉も嬉々としてその日を待ち侘びている。

 

 

最近は至って順調だった。

この心に覆いかぶさっていた不安とそれを提供する者が消えたから。

効かない薬と思いながら十錠も口に入れずに済む。何錠飲もうがこの薬はよく効くし、何より自分は「普通」に快調に向かっている。

 

これは躁なのかもしれないが、そうでないかもしれないので、いいことを考えたい。楽しいことが控えているのだから。

 

冬の風が突き刺すように身体を煽る。

バイト先の先輩が火をつける煙草は

そんな冬の渋谷を煌めかせた。

彼女が美しいから。その煙はきっと誰かの想いを壊すものではない。

煙草は吸わないし、臭いも得意ではないが綺麗な人が手に潜らせる白い8mm程の物は絵になると思った。

笑顔で彼女と別れて、帰る路線へまっすぐ向かう。

 

 

液晶には笑顔が零れる通知が流れた。

 

何度目かのコール音に心を浮つかせながら

応答のボタンを押す。見逃すは特急列車、帰宅は遅くなる。

 

だがこの電話先にも夢がある。

 

耳元へ携帯を運ぶ。本来の電話の使い方なのにわくわくする。だいぶ聞き慣れてきた声。

新しい世界、新しい夢。恋人だ。

 

特段規則性に厳しい人ではないが、大抵同じ時間にかかってくる電話と、たった5分程の会話に伝えたいことと感情を詰め込む。

 

「写真観たよ、いいね、何味?」

 

彼が私のことをよく褒めてくれるので先輩が撮ってくれた、スイーツを持つ自分写真を添付して送信していた。

 

生クリームがかかっているんだと必死に説明する、うんうんと穏やかな声でいつも聞いてくれる。特急列車がパンパンになっていくとことを見送りながら明日の話をする。

カレンダー通りの休みでしか会えない彼だったが、カレンダー通り会えるから、定刻のギリギリに明日会えるから楽しみにしてるね、と。暖かくしてねと電話を切った。

 

思い悩む必要は無かった。信じたければ信じればいいし、信じたくなければ疑えばいい。

 

疑われる要素が多いのであれば、証明したい相手であれば晴らせばいいしどうだってよければ気にしなければいい。

 

先々月の出来事があってから私のメンタルはターンオーバーと共に強くなったらしい。心は新陳代謝だろうか。

 

小さな夢がある。結婚して、子供は3人。

1番上は男の子で、その3つ下に双子の男女。

私の理想の家族構成。現代日本でこのような家庭を築くのは宝くじでも当たらない限り努努無謀だろう。

 

でも夢を見ないと生きていけない。それが現代社会で我々人間の唯一の希望ではないか。

 

だから多少妥協して生きても、なんでもよいのだけれど、お付き合いは結婚前提が良くてできればロマンチックな出会い方をしたいが、

そういうところを諦めていくのが大人だろう。

 

好きなタイプとか、身長とか、年収とか、血液型とか、年齢とか。

諦めた先に自分を愛してくれる真の想い人がいるなら、それは諦めではなく運命となる。

 

都合がいい?人間そういうものだろう。

愚かといえばそれまでで、ありがたいと思えば幸せである。

 

結局思想の中で生きているのであって、何が幸せか常に私が決められるのだ。

 

だから紙幣は交換物としての価値しかないし

それでどの幸せを得るか選ぶことができる。

 

しかし、多く持っているものの方が当然選択肢は多く、嘆きたいときもたくさんあったが、

今は明日、あの人と会えることを心に

この快速の終点までは、静かに目を瞑っていよう。

 

そうめいであれば

初めて人と付き合って、それに終わりとエンドキーを押してから1ヶ月が経つ頃、私は新世界を探し始めた。

 

夜明けを憂う散歩

 

家庭は、色々な意味で厳しく成年となっても

所謂夜遊びをしたことはなかった。

きっと聡明であったから。

そのようなことで親の期待を裏切ることはしたくなかった。

 

しかし私は法的に認められた基本的人権を所持する大人であり、己の意思でそういった「これまでとは違ったこと」をすることもひとつの勉強であると判断した。

 

職場の元先輩と愛らしい甘味を瞳と腹と写真フォルダに蓄え、別れた後日本の果てのような街を去ろうとした。

 

私の考える夜遊びとは単純であり

「一晩だけ命を重ねる遊戯、夜明けまで踊りあかす、十数%のアルコールに夢をみること」くらいで、とりあえずお金のかからなそうなことをしてみようと思った。

 

そこで声をかけられる。

「散歩しませんか?」

そうか、これか。

軟派についていく、確かにしたことが無い。

そしてしないようにしていた、何故かってそんな人間信用に値しないからだ。

そういった考えを飲み込み男に着いていくことにした。

程なくして到着したのは男女が混ざり合うであろう宿泊施設であった。

 

私は、前の彼と別れるまで、初めてを成年まで大切に貫いていたし、声をかけてきたその人の顔も喋り方も好みとは違ってあまり乗り気ではなかったので、入ってもいいけどなにもしないと予め伝えておいた。

 

心の準備とは違い自動で開くドアに男は入っていったがどうやら人が居なくてチェックインができないらしかった。意外と神様などは見守っているのかもしれない、など思いながらトマトジュースを折りたたむまで飲み干すと、隣のホテルなら。と言い出すのでとりあえずついていくが、現金のみということに男は落胆し、先程の場所に戻ってきた。

私は助かったと思いながら「これだけ格闘しても人が来ないってことは今はそういうことではないんですよ」と言いその人と別れた。

 

それからしばらくあのゲームの再現度は高いなとゴジラが覗くビルをぼーっとみつめたりして、自分に夜遊びは向いていないんだと踵を返し駅へ向かっているところだった。

「お姉さん何飲んでるの?トマトジュース?面白いね」

明らかにつまらなそうな言葉、この街らしい見た目、ヘラヘラした男。しかしさっきよりは幾分ましだろう。そんな思いで簡単に着いていく。

 

しかしそれでいい、これこそ私の考える夜遊びであった。

 

内心“男”に声を掛けられることが嬉しい自分と、このような生き方は誤りじゃないかと葛藤する自分がいたが、こんなところで足踏みしても得られるものなどないから、多少の失敗ならしてみようと私の足取りは軽やかであった。

 

彼もコンビニに寄り何飲みたい?と紙パックのジュースを差す。ここでは紙パックが遊びの相場らしい。先程飲んだトマトジュースをゴミ箱に捨て考えていると「やっぱり俺が決めるわ、これ」

指さしたのは飲んだことのないお酢のジュース。飲んだことないからじゃあそれで、そうして思い出せもしない程とくに身にならない話をしていたのだろう。気が付くとネットカフェが入ったビルの真下でジュースを飲み干してしまったらしい。

 

ここ、めっちゃおすすめ

 

そういってエレベーターが開いたのは当然ネットカフェの階だった。

しかし想定していたより広くて綺麗だったが

異常なほどホストであろう男性と、洋服以外さほど身なりに気を使っていないような女性がたくさんいた。

いや、今思い返すと身なりに気を遣うような年齢にすら達していなかったのかもしれない。

さすが、トー横とかいう位だ。

この国の果てという認識は間違っていないだろう。

 

織り交ざるのか。

覚悟をして踏み入れた部屋だったが、

ここで命をを燃やしてどう変わるのだろうか。

人生は分からないから楽しいのか。

 

他愛もない会話。お互い自分のことをよく言うような会話で格好つけて、しばらく時間は進んだ頃、私に触れた手は冷たかった。それが始まる合図だとはさすがに社会経験の少ない私でもわかった。今は良かった。冷たい手でもなんでも。

 

白熱、するところだった。

ここからというところで彼は言った。

「そのままでいい?」

当然困る。無理と返答する他ない。すると「持っていない」などという。だから無理、それか買いに行こうと告げるとだったらホテルでいいや、と言い急いでお互いはだけた服を直し何事も無かったことを悟って欲しいように髪に櫛を通し、この部屋とインターネットカフェから逃げるように外へ向かった。

 

不思議と楽しかった、両親の教えに背いてることなのか、今までの生活では有り得なかったからなのか、知らない人の自然体を観てなんだか本当に不思議だった。

 

だからなんの遠慮もなくホテルに入った。昂っていた。名も知らない男に。

 

ホテルのチェックインを済ませ新しい道のドアを開ける。これを閉めたら帰れないだろう。元の自分には。

しかし変化を望んだのは己だから、躁に身を任せて迷いなくドアを閉める。

 

 

男の命は熱く温かかった、その中間くらい。

その温度に安心した。

 

お互い疲労し、浅い呼吸の中

 

私は口を開けると世界平和について語り始めた。

彼は笑う、しかし否定はしない。夢が大きいことより、夢の種類を笑っていた。

そこで色々な話をしていた。事を含めて1時間くらいだろう、そんなに長くはなかったがなんだか自分が少しづつ、アップデートされていくような、自分が別の物質に変化していくような感覚に襲われた。不思議と恐怖はなかった。

「連絡先交換しようよ」

「いいよ」

二つ返事で許可を出していた。

その次の週、彼と遊ぶことなんて考えもせず

その日はそれを謳歌した。

 

 

あっという間に上着がないと震え上がる温度の中私は新しい感情に出会った。

 

 

操そういい事なんて無い

愛猫が健康の証を生み出して隠している音を

丑三つ時のベッドの上から聞いていた。

 

砂を掘る仕草を脳裏に浮かべながら

薄青く光るタブレットと白い電子ペン。

片手間に触る携帯には想い出と呼ばれるものがデータとして残っている。

 

 

初めて人と付き合って、別れた。

浅い眠り、静かな部屋。そっぽを向く彼と傍らで温度のない水を流す私。

 

先日、テーマパークへ行った。交際2年を祝すものだった。

 

実際、記念日でもなんでもない日で

その前には軽井沢に行く予定だった。そこで祝うはずだった。何も予定を立てない彼を他所に私は評価のいいコテージを探し、なんとなくのデートスポットを見ながら結局あちらから何一つ打診が無いので、自分の案を提示した。8月のことだった。

 

彼はOKを出した。8月30日二人で軽井沢へ行くことになった。一泊二日で。ここ一、二ヶ月彼の学校の事情で会う頻度もなにも減っていた。

連絡をとる頻度も、なにもかも。

 

浮気などは疑っていなかった。そんなものできるほど器用な人ではなかったから。

 

しかし、次の日きた連絡はこうだ。

「新歓があって、自分たちの代はやらなくちゃいけないことが多いからもしできたらキャンセルしたい。無理だったら構わない」

 

予約していたコテージは1ヶ月前からキャンセル料が発生する場所だったのでその旨を伝えたうえで、2年だしできれば断って欲しいと返信する。すると、キャンセル料は当然自分が払うからキャンセルさせてくれと。

ここまで全て私が予約を取ったので全て私の手間となり負担となり腹も立つが従った。

 

その後特にしっかりした謝罪もなく

リスケジュールという概念を持たない彼は

9月になってもなんの音沙汰もなかった。

 

こちらから言って初めて動く、余りにも無能だ。AIの方が余程賢いではないか。

 

結局、どこにいくか、ホテルを探し予約したのも全部私で、彼がしたのは私の3連勤の次の日に2日間のテーマパークのチケットを取ることだった。因みに敢えて記載しておくが私は予定がズレてもいいように3連勤後 4連休を取っていたのに、だ。

彼とは家が近いが、ここまででキャンセル料は払われていなかった。人として少しおかしいだろう。どうしてって、払ってくれと催促を何度もしていたからだ。当然それはお金が欲しいというより予定を蹴られたことへの憤怒である。

 

テーマパーク2日分のチケット代からキャンセル料を引くことによって解決となったが、それは料金としてであって信頼は失せたものだ。

 

1日目は楽しかった。

普通に写真を撮って、好きなものを食べて普通に過ごしていた。前日私が遅くまでバイトだったこともあり早めにパークを出たが、ホテルまでの送迎バスにも普通に乗れて普通にチェックインをし、部屋に入った。

 

綺麗なホテルだった。家族向けらしく部屋が広くベッドも大きいものが二つ。バストイレ別で24時間営業のコンビニも併設されていた。ただパーク帰り、行きの人でごった返していたが。

 

駐車券のサービスをフロントにつけてもらうためフロントへ向かったのだが駐車券を置いてきてしまい彼に電話をしたのだった。

 

何回かけても出ない。仕方なく部屋へ戻る。

 

寝てるのだ。その男は。

 

確かに彼の運転する車で8:30頃地元を出た。

しかし、彼は前日休みであり、好きなだけ眠れたにも関わらず、わざわざ連勤明けに過酷なテーマパーク、こちとら3日間4時間睡眠で来たにも関わらずあんまりではないか。

 

呆れた私はそいつを起こして駐車券を受け取り「お風呂に入るかご飯を食べておいて」といいコンビニで買ったカップ麺を食べるためのお湯を沸かすため水を入れスイッチを押し再びフロントへ向かった。部屋に戻ったら何もしていなかったが。

 

呆れすぎてあまり覚えてもいないが、浴槽にお湯を張ってシャワーを浴びてる際入ってきていいよと声をかけたが上がったらベッドで気絶している男がいるではないか。

流石に苛立ちが止まらなかった。チェックインしたのは22時前だったがその頃には0時近かった。私は少しでも長く寝たかったため髪を乾かした後毎日服用している睡眠薬と躁鬱の薬と、苛立ちを収めるための頓服を服用しベッドに入った。浴室からはコントとそれを笑う音が聞こえていた。

 

彼への想いは個々で途絶えた恐らく。

 

彼は遅刻癖が酷いあげく「ごめん」の一言しかない。遅刻しそうの一言もなければ何分遅れるなど、一切ないのだ。

 

二日目は6:30に起きた。はやめにパークに着くため8:30のパーク行きシャトルバスに乗ることにした。しかし私の隣で寝てる男は寝起きが悪い。一人では起きれない中学生までしか許されない特技を持っている。役に立ったことなんて私たちの関係で1度もないが。

朝食バイキングがあったので7:00に起こしてと頼まれていたため私は歯磨きや化粧など朝することをある程度済ませて7:00に声をかけたものの「7:30に起きる」とのことだった。私も寝起きは良くなければ長く寝たいので気持ちはわかる。しかしこの後、彼は7:30に起きて朝食を食べに行きのんびりとおかわりまでしたのだ。部屋に戻った時間は8:05

そして彼は何の準備もしていない。

こうやって遅刻するのかと感心していた。

 

結局乗ったバスは9:30だった。しかし彼は悪びれる様子などひとつも見当たらずシャトルバスの中で寝ていた。

 

パークについてから18時くらいまでは普通に楽しんでいた。18時あたりに喧嘩をした挙句

泣いてる私の腕を鷲掴みにし痣ができるほど強く握られアトラクションの列で大泣きしてしまった。

 

いらついたら携帯を投げるなど物にあたることは時折あったがこれはもうDVだと確信し別れることを決意した。

 

その後色々揉めたが私は彼の車で家の前まで送ってもらい、私の家に着いた瞬間この男

大泣きし始める。

 

理解が及ばない。

 

ずっと変わらず好きだったなどほざくのだ。

しかしこいつは過去2年の間に「言葉にしないと分からない」と私に言ってきた男。

元々私はあまり積極的に思ってることを口にしないタイプで、それに対して散々こういったことを言われた。

 

付き合いたてから1年ほどはずっと求めてもいないのに好きやかわいいや愛してるをずっとそれはもうあきるほど言ってきたが

次の1年で驚くほど言わなくなり、携帯のロック画面とホーム画面はなんだかよくわからないダイエットになるらしいハンバーガーから女子アイドルになり、もう飽きたの?と聞くと「いや?」といった横暴な態度を取ってきていた。周囲には別れた方がいいとしか言われなかった。全くもってその通りだったと痛感するのはこの後だ。

 

こいつは、言った。

「いつか注意されたことを全部直すから」

もう別れたから私が何人と寝ようがそんなこと知らないけど。私に彼氏が出来たら終わりだけど幻影でも追っていればと返す

「絶対治して迎えにくるから(ここでグータッチ)」

 

はぁ?

 

私の脳裏にはハリウッドザコシショウしかでてこなかった。

誇張してグータッチを一生してやろうか。

兎に角これこそ蛙化、唯一行為を向けられても蛙化しないからという理由で付き合った彼だったが、結局私の中では蛙と変わり、もうあなたと友達に戻ることも難しいでしょうとだけ告げ、グータッチもすることなく

これまでは車が見えなくなるまで見送ったがこちらから去った。

 

家に戻り「元彼」のLINEの通知と固定を外した

 

しばらくしたら元彼から「今までたくさんのことを私が教えてくれてたああだこうだ」といった内容の連絡がきていたが、うん。とだけ返すと既読だけをつけ、数日後に何故か直して欲しい所を聞いてきた。

 

私がこのブログを書いたのは別れたことも知っている共通の友人からある話を聞いてからだ。

 

あいつの携帯の画面まだお前だったよ、未練タラタラだね

 

静まり返った実家で私は愛猫を撫でている。

時間と約束を守らない人間にろくなものはいないと思い、心做しか病気が少し良くなった気がした。