憂鬱に現を抜かす、

命を絶つ勇気が出ない社会の贅肉 人生

夕闇に落ちた

幸せだった絶対に。

その時間までは幸せだった。

 

ある日、月がやけに近くて、

それも黄金に輝いていて

あれが反射光とはとても思えなかった。

自分の影がハッキリと視えるほどの煌めきに照らされて、あの空で輝いているそれは己の力でないはずなのに。おとした自分の影が

恐ろしく汚いものだと感じた。

 

 

太陽には だって、なれないから。

星々を照らして、この地球に時間を、生活を、浪漫をその突き刺さる光で与えている。

そんな有難くも残酷な存在には、なれないから。

感謝出来なかった。青空と、夕暮れの下で多くは涙を流していた。

 

月下で、安心していた。闇の中を優しい光で照らしてくれる星々とその微笑みに、守られていた。

眠れない夜は星と月が友達で、時折朝焼けとも手を取って幾度もの朝を迎えた。瞼が乾ききってしまうほどの辛い夜もずっと傍にあったから。

それでも夜になると光り輝く球体にいつからか苦しみを憶えた。

 

 

地球の敵でも味方でもない。星というカテゴリーでしかなくて、勝手に雅を付け足したのは我々であったのだ。

眩しい月光は、美しくもあれば、それに酷く落ち込むこともあってそれがきっとルナシーなどと云われる。

常に美しさと狂気は隣り合わせなのだ。

そして狂わされた物は戻りやしないのだろう。

 

感情なんて必要なくて、

ただ、そういうものだと受け止めたかった。

ここに生まれた以上許されはしなかった。

 

 

何かをを批評しながら生きていくことに心労した。

誰かを嫌うことに嫌気が差した。

人を尊敬する毎に痛みを負うようになって、

息をするってこんなに苦しかったかと気付いた頃にはもう傷しか残っていなかった。

 

 

平日の昼時なのに電車はやけに息苦しかった。

重たい感情をなんとか押し込みながら乗車して、

目の前の席がある駅で空いたので何も考えず座った。

暫くすると隣に座っていたいい時計をした男が立ち上がった。私の後ろには老人が立っていたらしく、老人に彼は席を譲ったのだ。

 

一方の自分はなんだろうか。己が辛いという感情に明け暮れ周りに気遣いもできない若年の、いかにもこれだからと言われる行いに私のキーボードは止まらなかった。悔しかった、そうやって周りが見えなくなることが。気付く限り譲るようにしているのに、見える限り声をかけるのに、私が私で塞がった時にそういうことは起こるのだ。油断している暇なんて常になくて、それでもぼーっと呼吸をすることが精一杯で。

老人は席を譲った男に「ありがとう」と告げ次の駅で降りていった。男は会釈したあと再び私の隣に座った。

きっと、有り得ないと思われているのだろう。

こうやって人生は思いどおりにはいかないのだ。

 

誰かに「良くみられたい」訳では無い

私を評価してくれる人がいて、評価に値する自分がいれば、それがあれば充分だからだ。

 

それでも私がこんなに恥ずかしいのは、

それができない人間だということを思い知らされたから。ただ気付かなかっただけで。そう思いたいだけで。そしてきっと隣に座っている彼も自分の善行をなんとも思っていないだろう。

すべて、全てが自分の不甲斐なさを醸し出して、早退しなければよかったと心から後悔した。

 

 

次の人生なんてできればあって欲しくない。

もう思考することから逃げたいから。

例えどんなに幸せになっても、輪廻転生や次は私にはもう必要ない。

 

この数日、愛について考えていた。

愛を強く抱いてしまうと猜疑心に変わり自分が愛されていないとどこかで思い込みたがる。

そしてその感情に名前をつけるでもなくただ傍に置いて、落ち着かせて欲しい。

 

伝えたいことはいつだって至って単純で、

それでも言葉にしたら湾曲していって全て高速道路に放り出された醜いガスを纏ったものになってしまう。

 

理論的に考えることなんて当たり前で、だけれど感情というフィルターを翳したときにそれは大きくブレて映る。そして映ったものが真実とは限らない。

言葉はそういうものだと思う。

 

 

素直な人、誠実な人、そういった人からしたら誠馬鹿馬鹿しい話だろう。言葉の裏表なんて。

でも裏が表で表が裏な世界で生きてきた私は、いつだってねじ曲がってしまう。愛してると思っていても

さようならと言いたくなってしまう。

信じさせてほしい。誰かに。愛した人に。

本当に表だけの、なんの疑いもない優しい言葉の存在と、私への愛を。ただ、そんな気持ちだった。

 

 

共に見上げた月も星も、独りで見上げる夜空もいつだって綺麗だった。星に手を伸ばせたら、そんなふうに死ねたら、十分に満足なのだろうか。

それでも心残りがあって

私の愛してるが君にきっと、

フィルターを翳されず伝わった日がなかったと思った。

 

私の明日への不安が、

伝わった日は無かったのだと思う。

私が抱く未来への絶望も伝わることはなかったし好きなのに、一緒にいたくないと言った理由も全てが伝わってなくて昼過ぎの街を照らす光に嘲笑されていた。

 

私が老人のことに気が付かなかったように

君は気付かないままの方がずっと幸せなのだろう。

 

意思はひとつだった。君といる世界を生きていたい

私がこの手を離したいって、

裏っ返しになって言った言葉を

そのままに受けとって1度手放して、だから。

 

それは私にはまた独りで生きていくということだったから。涙を流した。ごみ箱がティッシュで溢れて、この感情のように、垂れ流したまま本意で「向き合う」という言葉の意味も理解して貰えなかったのだろう。

 

 

楽しかった。

夜明けに抗ったりして寒空の中、車に寝そべりながら星空を眺めたり、いつしかブルーシートを買って床から見上げて零れる星を指さしたり。結局いつもあっけなく日は昇ってしまうのだけど、夜空を見つけるため晴れを探したり、太陽と悪意から身を守るための洋服を選んだり、水平線に沈んでゆく夕陽を眺めてはネットカフェに走らせて結局は迎える朝陽と、真ん中に刺さったままのダーツ。勝敗の画面が反射して眩しいなんて笑っていた。楽しかった。ただ

 

だから私はもう

君のいない世界に生きる意味はないと思った。

ずっと探していた、生きる意味を。

長年見出せずに苦しんで荒んで。それを何年も続けていた。そんな中出会った人はいった。俺のために生きてくれって。人生の責任も取れないのにそういう言葉を軽く言う人は嫌いだ。それでもあの時の私は貴方を信じたかった。今も。

 

だからこうなってしまった今は、私に残っている選択肢はひとつで、夢も希望もみなくていいからどうか、どうかただこの命をもっと有用な人に、生きていたいだれかにあげられないのなら、死にたいのだ。

お前が始めた物語だろ

こんなことを言う私を許して欲しい。

生きてまたどこかでとも、来世で出会えたらいいねとも思わない。

 

生きること、悪くない日もたくさんあると教えてくれて嬉しかった。でも今はこれで、このままで、消えて無くなりたい。

不思議だと思った、あんなに苦しんだり、努力したことも辛かったはずだけど、結局楽しかった想い出しか心から取り出せないのだ。

貴方は自分のした努力が間違ってたと分かればいい。

それが私が死んだ後でもそうでなくても。

 

思い残したことがひとつある。

付き合う時に私が作った契約書、

浮気はしない等当たり前のことから私を幸せにすること、のようなデータを消してしまって内容を覚えていないけど、サインはしてくれなかったけど、絶対に守るよって口頭契約を結んだ。きっとどこかに契約違反があったはずだ。

きっと口だけで、心から愛してると伝わらなかったこと。

 

 

あっという間に夕方になり暑いくらいだった気温も落ち始めていた。病院に向かっているけれど

はやくこの世界から、落として

早々躁

幸せになりたい

 

終電間際の特急に揺られ二本の足だけでなんとかブレないよう必死に画面を打つ。

これが今の私で在る。

 

後ろから覗いている貴方はヤッホー初の閲覧者

 

 

聞き飽きた車内アナウンスと揉まれ慣れた満員電車、大人になることがこういうことだと知ったのはつい最近だ。

 

夢はある、世界平和。みんなが笑顔で暮らせればいい

 

そんな風にざっくりと生きてきたので世の中が自分と全くもって解釈が合わない、知らない世界にきたみたいだ。

 

車内で足が縺れる。

持ち手がもっと多くあったらいいのに。

 

不幸なのか幸せなのかは己の考え方次第だとよく聞くが、まあそう思う。楽しいことが連立していればわざわざ身内が死んだ時の事なんて考えないだろう。私は考えない。

反対に不幸が乱立していれば、もう誰も死なないでくれと思うことぐらいしかできない。

 

この6年程、まあ驚くほど身内を亡くした。

幼少期を一緒に過ごした愛犬、名付け親から生き方を教えてくれた親戚、祖父母はどちらも居なくなってしまった。

 

こんな世の中で私は生きていたいのかわからない。でも身内を失う辛さを知ってもいる。

命の重さを知ってしまって、身動きが取れない。

 

死に損ねたことがある。

もうそろそろ3年が経つ。人生やり直したつもりだった。しかし2週間に1度は過る。

死ねたら、

誰か泣いてくれたのだろうか、笑ってくれたのだろうか。

 

人生で初めての恋人ができて1年半、私は度々死にたくなる。

 

ポップコーンのように跳ねた車内はいつの間にか各駅停車に変わっていた。

 

恋人は優しかった。幸せも不幸せも何方も教えてくれた、未熟だからお互い生きて学ぶことがたくさんあった。しかし価値観が違う

 

彼は生きていて、私は鬱病だ。

 

少々の停車時間に開放されたドアから冷たい空気が足元を震わせる。

 

私は生きていたいのかわからない。