床につき突然零れる生温い水が涙なのだと気付いた時には遅く、その時背骨を握っているのは病であると思う頃には既に手遅れである。血が滴ったとき初めて「自傷を行った」という事実に自身が驚き、咽び叫ぶ。不思議だと思うがこれが君と同じ人間だ。身長も体重も大差のない人間である。
しかし理解し難いだろう。
私だって同じだ、なにもなりたくてこうなった訳ではないから。
少し人よりハンデだ。その程度に思っていた。
いやそれは少しばかり嘘かもしれない。人間はどうしてこんなに死にたいと思うのか。長いこと悩んでいたがハンデというより、生命活動そのものを望んでないのである、鬱といった病は。
私の幸福的感情をなだらかにし私の苦しみを増長させ膨大な自己嫌悪に陥り涙を流しながら眠れることを願う晩が、それが去るまで続く。
自分が世界一苦しいとなど思っていない。
だからこそ死にたい。
私より苦しい人間はごまんといて、何も出来ず、病にも勝てず、愛する人の理解も得られないのなら蝕んだものは囁く「しんでしまえ」と。
只管に抗っている。涙を流し眠れることを祈る。
貴方が去るかもしれない明日を恐れながら。
だったら、だったらはじめから受け入れないでくれよ。
私だって普通に幸せを噛み締めて生きたいのに、
そうさせてくれないのは私の世界一嫌いなわたしである。
震える手で打っている。今度こそ本当に死ねて仕舞うかもしれない。
自傷で夢を遠ざけた。これは心から悔しいのに。
侵された私の命を糸一本で繋いでいるのは、果たしたい夢と、君だが。全ては遠ざかる。
眠る前の意識の如く、幸せは脆く朦朧であり簡単に途切れるのだろう。
心中を図ることは辞めた。貴方には私とは違い蝕まれていない輝かしい未来が有るから。
しかし、左様ならと簡単に首を切ることに怯え
生物としてどのようなものよりも己が下等であると理解しているくせにいざ事を実行するにはまるで普通の人間のように戦くのだ。
勇気が欲しい。
少しの勇気が。
夢を諦める勇気が。
貴方を諦める勇気が。
私を辞める勇気が。
全てが固まったらきっと、勇気を翼に込めてと題して、生きていた証をもっと詳細に綴るのだろう。